近年、太陽風(太陽から流れ出るプラズマ)に異常がみられる。
太陽の活動が弱い時、太陽風は太陽の赤道付近を除いて風速が強い状態となる。
ところが、数年前から赤道付近も含めて全体的に風速が強くなっている。
それとタイミングを合わせるように、太陽の黒点数は2007年の極小期が過ぎても、
異常に少ない状態が続いている。
これは、太陽活動が弱い状態が長期化する、つまり地球が寒冷化する兆候ではないか?
という説を唱える研究者もいる。
一方で、大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の増加による地球温暖化が懸念され、
世界中でそれに対する取り組みが行われている。
では、どちらが正しいのかというと、実はよくわかっていないというのが現状である。
CO2が温暖化の主原因であるというのも仮説の一つでしかない。
将来的に、温暖化の原因が全く別のものであり、その結果としてCO2が増えていた、
という今の仮説とは逆の研究結果が出る可能性も十分にある。
それだけ、地球の環境は複雑なメカニズムの上に成り立っているということができる。
それなら現在行われているCO2排出削減の取り組みは無駄なのか?
といえば、必ずしもそうではない。
CO2の最大の排出源である化石燃料の埋蔵量には限りがあり、
その消費を削減するという意味では非常に有意義である。
ただ、排出権取引と称して、CO2を国同士の勢力争いや金儲けの道具に使うのは
果たして意味があるのか、と個人的には思ってしまう。
今一番大事なのは、太陽活動に何らかの異常が起きているこの時期に、
地球の環境変化を正確に観測し、それを分析することで、
地球環境のメカニズムを解明する大きな手掛かりにすることではないだろうか。
・・・という内容の話を、今朝の岐阜放送の天気予報のコーナーでしました。
このお話、今月7日に東大の木曽観測所に行った際、太陽風の研究をされている先生が
行った講演と、その質疑応答の内容をもとに作ってみたものです。
この講演で印象的だったのは、「本来、自由な議論が許されるはずの学術界でも、
地球温暖化に関しては、それに反する話題を出しにくい風潮ができつつある」
と、いったジレンマを冗談交じりに話していたことです。
こういう風潮、気象予報士として天気に関わる仕事をしていると、
嫌でも感じさせられます。
例えば、テレビ番組で近年集中豪雨の災害が多発していることを取り上げると、
必ず誰かが「これはやっぱり地球温暖化が原因なのですかね?」などと
話題をそちらの方向へ振り始めます。
こんなシーンを見るたび、「そんな単純な話じゃないだろう」とか
「個々の気象現象と地球環境の変動には直接の因果はないのに」と辟易してしまいます。
おそらく、それに答えている気象や防災の専門家らしき人も、
同じような気持ちで適当に同調しているだけではないかとすら思えてきます。
なんか、「環境」とか「温暖化」とかいう言葉を持ち出せば何をやっても許される的な
雰囲気を感じてしまうんですね。(特にマスメディア関係は・・・)
そういう風潮に乗ってしまえば楽なのかもしれないけど、
地球惑星科学科、しかも地球環境のシステム的な研究をしている講座出身の自分としては、
そんな安易なことはしたくない、という気持ちになってしまいます。
幸い、自分には「天気」という切り口を通して、公共の電波に自分の主張を
ある程度自由に発信する場が与えられています。
今日はまだジャブ程度の軽い内容だったけど、また機会があれば、
自然な形でもっと切り込んだ話をしてみたいな、とは思っています。
