きのう(27日)は九州・中国・四国地方で、きょう(28日)は近畿・東海地方で梅雨入りしたとみられると
各地の気象台から発表がありました。
ところが、きのうからきょうにかけて、天気図上には梅雨前線らしきものはまったく見当たりません。

(28日9時の速報天気図:気象庁HPより引用)
それなのになぜ?と思われる方が多いと思いますが、実は、上空に前線が隠れているのです。
こちらは28日9時の、850hPa(上空1500m付近)の風と相当温位の分布図です。
相当温位とは空気の温度と湿り具合をあわせて示したもので、
数値が大きいほど高温多湿な空気であることを示しています。

この図を見ると、オレンジやピンクで塗り分けられた、相当温位が330K以上の
非常に高温多湿な空気が西日本に流れ込んでいることがわかります。
さらに風向きを見ると、南シナ海方面から南西の風に乗って流れ込んできています。
これは「熱帯モンスーン気団」と呼ばれる、東南アジア起源の空気の塊です。
一方、東日本から日本の東海上にかけては比較的乾燥した空気があります。
こちらはもともとは中国大陸起源の「揚子江気団」で、移動性高気圧となって日本付近を通過したあと、
東海上で海から湿り気の供給を受けてやや高温多湿に変質した空気の塊です。
近畿地方から紀伊半島沖に南北に延びる等温位線の集中した部分が気団の境目、つまり梅雨前線なのです。
理科の教科書など一般的には、梅雨前線は小笠原気団(太平洋高気圧)とオホーツク海気団(オホーツク海高気圧)の
境目にできると解説されていますが、それは本州付近での話。
中国大陸や南西諸島付近では、熱帯モンスーン気団と揚子江気団の境目が梅雨前線となっています。
今回ははたまたま、上空のチベット高気圧の勢力が強まったためか、熱帯モンスーン気団が西日本にまで
流れ込んできたため、例年とは違い、地上での梅雨前線がはっきりしないまま、
梅雨入りになったのでは・・・と推測しています。
